スリープダイアリーで「眠り」を視覚化する
「レコーディング・ダイエット」は、とにかく食べたものはすべて記録して1500キロカロリー以内に収めるという、ローコストなダイエット法です。非常に人気で簡単にできるために大ブームになりました。
記録するという作業は、やったことや成果が目に見えるようになるという点で、大きな効果があります。睡眠管理も、また同じです。
睡眠障害の疑いのある患者さんには、「スリープダイアリー」(睡眠日記) をよく付けてもらいます。これはなにも日々の睡眠について感想文を書くとか、そういうものではありません。横軸に時間をとって、寝ている時間を塗りつぶすだけのシンプルな、チャートのようなものです。睡眠時間が短いと、塗りつぶされる部分が少なくなってきます。
記録することで、規則正しく起きられているか、眠れているかが、視覚的にわかります。週末だけ寝坊しているなど、なんとなくわかっている傾向も、視覚的に把握できます。
ただし、スリープダイアリーには、「付けるのが面倒くさい」という致命的な欠点があります。付けることが気になって、不眠になってしまったという笑えない副作用もあります。
試してみたい? 睡眠アプリ
スマートフォンなど携帯に便利なデバイスが普及していますから、これらを使わないのはもったいない話です。スマホの「睡眠アプリ」を使用している患者さんも、ちらほらいらっしやいます。
日進月歩どころか秒速分歩ぐらいのスピードで発展するアプリ業界ですので、さらに最新の機能をそなえたアプリがダウンロードできるかもしれません。
医療用としては、「ライフコーダ」という万歩計のような機械を患者さんに貸し出して、睡眠覚醒リズムを連続して記録してもらうことがあります。記録を分析すると、何時に寝て何時に起きたか、週末は寝坊していたかなどが、一見してわかるようにできています。
現在は医療用なのですが、将来は万歩計サイズをさらに小型化して、タラウドサービスにして医療用から一般用にすることを目指しているようです。
今までは睡眠をモニタリングしようとすると、機械が大きい、身に着けるのがウザいなどという、基本的なボトルネックが大きな問題として立ちはだかっていました。
しかし技術の進歩によって、こういった短所は改善されつつあります。自宅で何の苦労もなく睡眠が記録できる「睡眠ホームモニタリング」ができる日も、遠くないかもしれません。