半分眠っているような状態で歩いたり、大声を出す「入眠幻覚」

お年寄りに「ひと晩じゅう夢を見ていて、どうも眠った気がしないんですが、病気ではないのでしょうか?」と聞かれることがあります。もちろんお年寄りだけではないのですが、お年寄りに多く見られます。

人間は年をとるとともに眠りが浅くなり、寝つきも悪くなります。眠くなっていざ布団に入っても、眠られない状態が長く続いたりします。歳をとると、眠れないことがストレスになり、睡眠剤を使わないと入眠できない人も多いのです。

こんなときに出やすいのが「入眠幻覚」といわれるものです。幻覚というのは、あるはずのないものが見えたり聞こえたりする現象で、眠っているあいだに見ている夢も一種の幻覚ともいえます。

入眠幻覚とは、さまざまな幻覚の中でも眠りに入ろうとする時期に現われる幻覚のことを指しています。
入眠幻覚では意識が完全にはなくなっていません。ですから幻覚を見ていることを意識できます。この点では、普通の夢とは異なった幻覚です。お年寄りの場合は、加齢現象として脳細胞が少しずつこわれ、脳血管障害が現われて、眠りに入る仕組みにも乱れが起こることが多くなります。

入眠幻覚もそれにともなって起きやすくなるのです。困るのは、この人眠幻覚が最近問題になっている認知症などの夜間俳掴を招きやすくすることです。

しかし、入眠状態ではまだ十分に筋肉が弛緩してないので、幻覚を見た途端に反応してしまい、起き上がって歩き出したり、大声を出して叫んだりするわけです。こうした人は昼間できるだけ刺激を受けて、体を動かし、エネルギーを使うことが必要です。そうすれば、眠りに対する要求も高まって、比較的よく眠れるようになります。
歳をとると体を動かさなくなることも入眠障害になる原因です。

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