風邪にかかってしまったり発熱すると、体がだるくなって眠くなってしまいます。細菌やウィルスは人間の体の中に入ると白血球によってこわされ、そこにムラミルペプチドという物質ができます。これが体の中でインターロイキンⅠという物質を作り、さらにこのインターロイキンⅠがプロスタグランディンD2やE2を作ります。
プロスタグランディンD2については、最初に発見されたのは人ではなく犬でした。
いわゆる睡眠物質の1つで、感染するとぼーっとして眠くなるのは、この物質の作用によるものです。一方、プロスタグランディンE2は発熱を引き起こし、免疫のもとであるリンパ球を活性化させます。こうして病気になると、発熱しし、眠くなり、同時に病気に対する回復力も出てきます。
ごくごく簡単にいうと、眠ることで体を動かさないようにし、不要なモネルギーを使わないようになります。そのエネルギーが免疫を作る方に向けられて、病気を治すのです。
発熱は、私たちの体に対して実にさまざまな有益な働きをすることが、最近科学的にも明らかにされてきました。
がんの治療法として発熱療法が注目を集めているのも、こうした働きからです。就寝中に病気を治す仕組みが、分子生物学的にも証明されてきたのですから、睡眠をないがしろにすわけにはいきません。深い睡眠は、このようにすぐれた体の働きを、無駄なエネルギーを使わずに保証する仕組みを提供してくれているのです。まさしく「睡眠=名医」と言ってもいえるでしょう。
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