少し前に就寝中に英語をかけて寝ている間に覚えるという学習法が注目を集めましたが、誰でも眠っているあいだにいろいろなことを記憶できたら、何も昼間せっせと勉強する必要はありません。
こうした睡眠学習は多分そんな世間の期待を受けて、注目が集まったのでしょう。
現在では、その効果は否定的に評価されることが多くなりました。しかし、学習とレム睡眠のあいだには、特別な関係があるのは事実です。
たとえば最近の研究の1つに「ラットに新しい学習をさせるとレム睡眠が増加する」という報告があります。ラットを2つに分かれた箱の中に入れ、ブザーが鳴ったときに別の部屋に逃げれば、電気ショックを避けられるようにして実験したのです。
その結果、電気ショックから逃れることを学習するにつれて、ラットのレム睡眠が増えていくことが確認されたのです。人間の場合にも、多くの実験や研究がなされています。
たとえば、逆転プリズムと呼ばれる一種のメガネをかけて、世の中が逆に見えるようにした実験では、この奇妙な環境に順応していく第1日日にレム睡眠が急増しました。
それから再び元の環境に戻すときにも、レム睡眠が増加しています。
つまり新しい学習のたびにレム睡眠が重要な役割を果たしていたのです。新しいことを学習するのは、ある意味ではストレスになります。
したがって、ストレスの多い時期に睡眠要求が高まるのも、つまりはレム睡眠への要求が高まるためだと見ることができます。
つまり、学習→ストレス→レム睡眠要求という流れはあっても、その道はないというのが最近の結論です。むしろ眠ってしまった脳は、しっかり休めた方がいいということです。睡眠時間帯に学習してインプットできればこれ幸いというのは忙しい現代人なら誰もが思うことですが、これはNGということです。
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